地政学リスクと政治的不透明感による経済下振れリスク
FY2017-Q1に初出。31回の記載のうち17回が「悪化」で、最初の「悪化」はFY2019-Q2。直近の記載はFY2026。
テーマ全体が最も大きく悪化側へ動いたのは2022年。134社中104社が悪化側に。
- FY2026悪化有価証券報告書
「当連結会計年度の世界経済は、米国の関税政策や通商摩擦の動向に加え、地政学リスクの長期化や新たな衝突の発生、資源・エネルギー価格の変動、サプライチェーンの混乱等を背景に先行き不透明な状況が継続しました。」
米国関税政策、通商摩擦、地政学リスク、資源・エネルギー価格変動及びサプライチェーン混乱が継続し、北米では物価上昇、政府閉鎖、設備投資抑制及び減収として実際の事業環境に表れている。 - FY2026-H1悪化有価証券報告書
「当中間連結会計期間の世界経済は、米政権による相互関税政策の発表を機に、先行きへの不透明感が急速に広がりました。米政権の関税政策が各国経済に及ぼす影響に加え、ウクライナ紛争の長期化、中東情勢の急速な緊迫化による地政学リスクの高まり等、世界経済の先行きに対する懸念が一層強まる状況にあります。」
従来のウクライナ情勢等に加え、米政権の相互関税政策と中東情勢の緊迫化を新たな不透明要因として明示している。関税政策による買い控えや設備投資抑制が北米・欧州の無線通信機器需要に実際に影響したと記載している。 - FY2025-H1悪化有価証券報告書
「当中間連結会計期間の世界経済は、欧米等の金融引き締めの効果により、地域による温度差があるもののインフレの緩和が進み、米国では消費が底堅く緩やかな回復基調で推移しましたが、ウクライナでの長期化する紛争や中東での緊迫した情勢など、地政学的リスクは高まりました。」
ウクライナ情勢の長期化に加え、中東の緊迫した情勢を挙げ、地政学的リスクの高まりを明示している。米国消費の回復など緩和要因も併記されているが、外部環境上のリスク論点は前回より具体化している。 - FY2024-Q3悪化有価証券報告書
「一方で地政学リスクの高まり、原材料やエネルギー価格の上昇、中国経済の先行き懸念などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。」
従来の地政学リスク、原材料・エネルギー価格上昇に加え、中国経済の先行き懸念を明示している。自社業績への直接的な損失発生までは記載していない。 - FY2024-Q2悪化有価証券報告書
「一方で地政学リスクの高まり、原材料やエネルギー価格の上昇などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。」
地政学リスクの高まりを明示し、原材料・エネルギー価格上昇とともに先行き不透明要因として記載している。自社業績への直接的な損失発生までは示していない。 - FY2024-Q1再掲有価証券報告書
「一方でロシア・ウクライナ情勢の長期化、原材料やエネルギー価格の上昇などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。」
ロシア・ウクライナ情勢の長期化、原材料・エネルギー価格上昇及び先行き不透明感を継続して記載している。新たなリスクの発生や重要な変更はないと明記している。 - FY2023-Q3再掲有価証券報告書
「ウクライナ情勢等によってコストプッシュ型インフレが世界的に進行し、これに伴う米国等主要国の政策金利の引き上げから、世界経済に景気後退が懸念されております。」
ウクライナ情勢、世界的なコストプッシュ型インフレ、主要国の利上げ及び景気後退懸念を継続して記載している。前四半期からリスク認識に重要な変更があったとは記載していない。 - FY2023-Q2悪化有価証券報告書
「しかし、ウクライナ情勢によってコストプッシュ型インフレが世界的に進行し、これに伴う米国等の政策金利の引き上げから、世界経済に景気後退が懸念されるようになりました。」
ウクライナ情勢を背景とする世界的なコストプッシュ型インフレと、米国等の利上げによる景気後退懸念が新たに明示され、従来の地政学・経済下振れリスクが具体化している。 - FY2023-Q1悪化有価証券報告書
「しかしながら、昨年より続く電子部品等原材料の供給不足・高騰は生産面で大きなマイナス影響を及ぼしており、ウクライナ情勢についても長期化が見込まれるなど、先行きに対する不透明感は更に増しています。」
原材料の供給不足・高騰による生産面への影響が継続する中、ウクライナ情勢の長期化見込みが加わり、先行き不透明感の増大を記載している。 - FY2022悪化有価証券報告書
「電子部品等原材料の供給不足・高騰は生産面で大きなマイナス影響を及ぼしており、加えて物流の遅延やエネルギー価格高騰、更にはロシアによるウクライナ侵攻が始まり、世界経済に影響を及ぼす懸念材料が増大しました。」
従来の感染症・世界経済減速に加え、物流遅延、エネルギー価格高騰、ロシアによるウクライナ侵攻が新たな懸念材料として明示された。ロシア市場については輸出停止を記載しているが、現時点で大きな影響はない見通しとしている。 - FY2022-Q2悪化有価証券報告書
「また、感染の再度拡大や地域格差、エネルギー価格高騰など新たな懸念材料が浮上しており、今後の景気の先行きについて不透明感を増すこととなりました。」
感染再拡大、地域格差、エネルギー価格高騰が新たな懸念材料として明示され、経済下振れ・先行き不透明感の論点が広がった。 - FY2021再掲有価証券報告書
「当連結会計年度は、期初においてコロナ禍の影響から世界経済は大幅に落ち込み、対策の進捗に合わせて徐々に持ち直しつつも、繰り返される感染拡大の波により足踏みすることを余儀なくされました。」
コロナ禍による世界経済の落ち込みと、その後の回復・再感染拡大による足踏みを記載している。経済環境の地域差と不透明感が継続している。 - FY2021-Q3再掲有価証券報告書
「早期に抑制された中国などでは急速な回復が見られた一方で、米州では対策の遅れから回復の速度は遅く、欧州など再度感染拡大となった地域ではロックダウンが始まったことから、今後の先行きが懸念される状況となりました。」
中国などで回復が進む一方、米州の回復遅れや欧州などの再感染拡大・ロックダウンを記載しており、地域別に経済環境の差が継続している。 - FY2021-Q1顕在化有価証券報告書
「当第1四半期連結累計期間は、前連結会計年度の第4四半期以降から続く新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、ワールドワイドで経済活動が抑制され、マイナス成長を余儀なくされました。」
新型コロナウイルス感染症により世界的に経済活動が抑制され、マイナス成長となったことを記載している。 - FY2020顕在化有価証券報告書
「当連結会計年度は、米中貿易摩擦やブレグジットの先行き不透明感から世界経済は減速基調が継続していましたが、第4四半期以降新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、経済活動が抑制され、景気の悪化が急速に進みました。」
従来の米中貿易摩擦・Brexitに加え、新型コロナウイルス感染症により世界経済の減速・悪化が実際に発生したと記載している。国内外で販売機会の減少、後ろ倒し、資材納期遅延等の影響も示されている。 - FY2020-Q3悪化有価証券報告書
「当第3四半期連結累計期間は、米中貿易摩擦やブレグジットの先行き不透明感から世界経済は減速基調が継続しました。国内については、中国需要の弱さや原油価格の上昇が関連業種にマイナス影響を与え、消費税率変更の影響もあり成長に陰りが見られました。米国は、製造業を中心に企業活動は鈍化する一方で、雇用・労働環境は良好さを維持しました。欧州では、輸出の伸びが鈍化した影響で製造業の不振が続きましたが、個人消費といった内需は、就業者数の増加、賃金上昇率の加速、金融緩和などを追い風に拡大基調を維持しました。アジア地域では、中国の減速が顕著となり、その影響が地域全体に及びました。」
米中貿易摩擦とBrexitの先行き不透明感が継続し、世界経済の減速、欧州製造業の不振、中国減速の地域波及が明示された。国内でも中国需要の弱さや原油価格上昇、消費税率変更による成長への陰りが記載されている。会社業績への直接的な損失発生までは示していない。 - FY2020-Q2悪化有価証券報告書
「当第2四半期連結累計期間は、米中貿易摩擦の影響で世界貿易の伸びが鈍化したことに伴い、世界経済は減速基調が継続しました。国内については、中国需要の弱さや原油価格の上昇が関連業種にマイナス影響を与え、成長に陰りが見られました。米国は、製造業の景況感が悪化しつつも個人消費は底堅く、成長を続けました。欧州では、個人消費を支えとする内需は堅調さを維持しつつも、ブレグジット問題もあり輸出は低調な推移となりました。アジア地域では、中国の減速が顕著となり、その影響が地域全体に及びました。」
米中貿易摩擦による世界貿易の鈍化、欧州輸出の低調、中国減速の地域波及が継続・具体化している。国内でも中国需要の弱さや原油価格上昇による関連業種へのマイナス影響が記載され、経済下振れリスクの論点がさらに広がっている。 - FY2020-Q1悪化有価証券報告書
「当第1四半期連結累計期間は、米中貿易摩擦の影響や外需の減少に伴い、世界経済は減速基調が継続しました。国内については、雇用環境の改善が続きましたが、実質賃金の伸び悩みなどで消費マインドに陰りが見られました。米国は米中貿易摩擦の影響が大きく懸念される状況にありますが、概ね堅調な推移となりました。欧州では、内需は堅調さを維持しつつも、ブレグジット問題の迷走や米中貿易摩擦の影響もあり成長率が鈍化しました。アジア地域では、中国の減速が顕著となりました。」
前回までの米中貿易摩擦への懸念が継続するだけでなく、外需減少による世界経済の減速、欧州の成長率鈍化、中国の減速が明示された。経済下振れリスクの論点がさらに具体化しているが、当社業績への直接的な損失発生までは記載していない。 - FY2019悪化有価証券報告書
「当連結会計年度は、国内については、雇用環境の改善が進むとともに設備投資が堅調であったことから緩やかな回復が続きましたが、年明けから年度末にかけては外需の減少やコスト負担増から足踏み状態となりました。輸出環境については、米国は米中貿易摩擦の影響が大きく懸念される状況にありますが、雇用環境の改善や堅調な企業収益から好調を維持しました。欧州では、内需は堅調さを維持しつつも輸出の減速により成長率が鈍化しました。アジア地域でも、インドネシアでは旺盛な内需による好調さを維持しましたが、他の主要国では外需の減少から成長率が鈍化しました。」
米中貿易摩擦への懸念、欧州の輸出減速、アジア主要国の外需減少と成長率鈍化が明示され、経済下振れリスクの論点が継続・具体化している。 - FY2019-Q3悪化有価証券報告書
「輸出環境については、米国は米中貿易摩擦の影響が大きく懸念される状況になりつつあるものの、労働市場は拡大し個人消費も堅調さを維持しました。欧州では、輸出の減速により鉱工業部門の不振が目立つようになりました。アジア地域は、外需の減少から輸出の減速が目立ち始めました。」
米中貿易摩擦への懸念が強まり、欧州では輸出減速に伴う鉱工業部門の不振、アジアでは外需減少による輸出減速が新たに明示された。米国の内需は堅調とされ、経済下振れが全面的に発生したとは記載されていない。 - FY2019-Q2悪化有価証券報告書
「輸出環境についても、米国は米中貿易戦争という懸念材料はあるものの、足元は減税効果の顕在化や低水準の失業率などから内需を主体とした景気拡大が続き、欧州も雇用増に加え賃金上昇率に加速の兆しが見られ、内需主導の景気拡大が続きました。アジア地域は、通貨不安や成長率が鈍化した国々があるなどまだら模様の推移となりました。」
米中貿易戦争、アジアの通貨不安、成長率鈍化を具体的な懸念要因として記載しており、地政学・政治的不透明感による経済下振れリスクの論点が再び明示された。一方、米国・欧州では景気拡大が続いたと記載しており、実際の下振れ発生までは示していない。 - FY2019-Q1後退有価証券報告書
「当第1四半期連結累計期間は、国内については、輸出の増加と堅調な設備投資や個人消費の持ち直しから、景気は緩やかな回復傾向が続きました。輸出環境についても、米国は内需を中心とした景気拡大が続き、欧州も建設投資と個人消費が牽引役となって緩やかな成長が続きました。アジア地域でも資源価格の上昇やインフラ投資の拡大による堅調な成長が続きました。」
前回まで記載されていた米国の政策不透明感や中国の景気減速への言及はなく、国内・米国・欧州・アジアの回復・成長を記載している。リスクが解消したとは記載していない。 - FY2018-Q3後退有価証券報告書
「輸出環境についても、米国は、雇用環境改善による消費支出の拡大と設備投資の再開により堅調な成長が続きました。欧州も、輸出や民需が堅調なことから緩やかな成長が続きました。アジア地域でもグローバル経済の拡大による堅調な成長が続きました。」
前回まで記載されていた米国の政策不透明感や中国の景気減速への言及に代わり、米国・欧州・アジアの成長を記載している。地政学・政治リスクが解消したとは記載していない。 - FY2018-Q2再掲有価証券報告書
「輸出環境についても、米国は政策運営に不透明感があるものの、インフラ投資や雇用・所得環境の改善による個人消費の拡大から堅調な成長が続きました。欧州も良好な雇用情勢と消費の拡大から堅調な成長が続きました。アジア地域でも概ね堅調であったものの、中国では経済成長率の減速が続きました。」
米国の政策運営に関する不透明感と中国の景気減速を継続して記載している。一方、米国・欧州は堅調な成長、アジアも概ね堅調と説明している。 - FY2018-Q1再掲有価証券報告書
「輸出環境についても、米国は新政権の政策見通しに不透明感があるものの、製造業の業況が底堅さを維持しており、雇用の改善や個人消費も堅調に推移したことから緩やかな成長を続けました。」
米国新政権の政策見通しに不透明感があるとのリスク認識を継続している一方、米国経済については緩やかな成長が続いたと記載している。 - FY2017再掲有価証券報告書
「欧州では英国のEU離脱問題による経済への影響も限定的だったことから、内需主導による緩やかな回復基調が続きました。一方、中国をはじめとする新興国や資源国では成長鈍化による景気の下振れ懸念が強まりました。」
英国EU離脱による影響は限定的としつつ、中国など新興国・資源国の成長鈍化による下振れ懸念を引き続き記載している。 - FY2017-Q3再掲有価証券報告書
「欧州では英国のEU離脱問題により懸念された世界経済への影響も限定的だったことから、内需主導による緩やかな回復基調が続きました。また、中国では輸出額が前年を大きく下回るなど景気減速傾向が続き、アジア諸国にも影響を与えました。」
Brexitによる世界経済への影響は限定的だったとする一方、中国の景気減速とアジア諸国への影響は継続して記載している。リスク全体について新たな重大変更があったとは記載していない。 - FY2017-Q2再掲有価証券報告書
「欧州においては、英国がEU離脱(Brexit)を選択しその影響が懸念されたものの、総じて内需主導による緩やかな景気回復が続きました。また、中国で緩やかな景気減速傾向が続き、アジア諸国でもそれにつれて弱含みで推移しました。今後も急激な為替変動、世界経済の下振れリスクが残り、景気の先行きは予断を許さない状況が続いております。」
Brexitの影響懸念、中国の景気減速、アジアの弱含み、世界経済の下振れリスクを引き続き記載している。Brexitの影響による経済下振れが実際に発生したとは記載していない。 - FY2017-Q1初出有価証券報告書
「今後については、中東情勢に端を発する世界的な地政学リスクの高まりに加え、米国や欧州において今後の政治体制への不透明感が深まっており、経済の下振れリスクも大きくなっています。」
既存の戦争・疫病・災害による原材料調達リスクとは別に、地政学情勢や政治体制の不透明感を経済全体の下振れ要因として示している。