新薬研究開発の長期化・中止・承認不確実性
FY2016に初出。21回の記載のうち14回が「顕在化」で、最初の「顕在化」はFY2017。直近の記載は2026-07-31。
第一三共がこのテーマで「悪化」側に入ったのは2017年。同じテーマの他社の中央値(2020年)より3年早い。
テーマ全体が最も大きく悪化側へ動いたのは2022年。40社中20社が悪化側に。
直近の記載が「顕在化」なのは、ほかに23社。
- 2026-07-31顕在化決算説明資料
「CMOへの損失補償 - - 0.2% 10」
2026年度第1四半期にCMOへの損失補償10億円が売上原価に計上され、供給計画見直しに伴う損失補償の費用認識が継続した。 - FY2026顕在化有価証券報告書
「CMOとの製造委託契約に基づく最低購入義務との間に差異が生じたため、現時点での最善の見積りに基づき、CMOに対して将来支払う可能性が高いと見込まれる損失補償額169,498百万円を損失補償引当金として計上しております。」
臨床試験結果等を踏まえた供給計画の見直しにより、CMOの最低購入義務との差異が生じ、1,694億9,800万円の損失補償引当金を計上した。開発計画変更・製造能力の過剰化に関するリスクが実際の費用認識に至った。 - FY2026-H1顕在化有価証券報告書
「前期は第一三共エスファ㈱の株式譲渡益が一過性の収益として計上されていましたが、当期はその影響がなく一過性の収益が減少したこと、また、当期にHER3-DXdに関する製造委託先への損失補償等を一過性の費用に計上したことにより、コア営業利益に比べて減益額が拡大いたしました。」
HER3-DXdに関する製造委託先への損失補償等が当中間連結会計期間の一過性費用として計上された。提携・開発・製造に伴う費用発生が実績として顕在化した。 - FY2025悪化有価証券報告書
「さらに、第三者との研究開発に係る提携に関して契約の条件変更・終了等が起こった場合、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて開発計画の変更により、設備投資が過剰となり投資額を回収できない、あるいは過剰在庫が発生し廃棄費用が生じる可能性があります。」
新薬研究開発リスクについて、従来の長期化・中止・承認不確実性に加え、提携条件の変更・終了、開発計画変更による設備過剰や過剰在庫のリスクが追加的に明示された。 - FY2023顕在化有価証券報告書
「当連結会計年度の減損損失は主としてTURALIOに関する営業権及びDS-5141に関する仕掛研究開発から生じております。TURALIOに関する営業権は、競合品の影響により将来の売上予測が低下する等の減損の兆候が見られたことから、14,184百万円の減損損失を計上し、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。DS-5141に関する仕掛研究開発は、開発を継続しないことを決定したことから、6,299百万円の減損損失を認識しております。」
競合品の影響によるTURALIOの将来売上予測低下と、DS-5141の開発継続中止が発生し、それぞれ141億8,400万円、62億9,900万円の減損損失を計上した。新薬開発の収益性低下・中止リスクが具体化した。 - FY2021再掲有価証券報告書
「新薬候補品の研究開発には、多額の費用と長い年月が必要ですが、その間に期待された有用性が確認できず研究開発を中止する可能性があります。また、臨床試験で良好な結果が得られても承認審査基準の変更等により承認が得られなくなる可能性があります。」
新薬開発の長期化、中止、臨床試験結果や規制審査による承認不確実性を引き続き重大リスクとして記載している。 - FY2020顕在化有価証券報告書
「FLT3-ITD変異を有する再発または難治性のAMLに係る販売承認申請について、2019年6月に米国FDAより現在の申請内容では承認に至らない場合に発行される審査完了報告通知(Complete Response Letter)を受領いたしました。また、2019年10月には欧州医薬品庁の医薬品委員会より承認を推奨しないという否定的見解が示されました。」
キザルチニブについて米国FDAからComplete Response Letterを受領し、欧州でも否定的見解が示され、承認取得の不確実性が具体化した。一方、国内では承認・上市に至った。 - FY2019顕在化有価証券報告書
「当連結会計年度の減損損失は主としてプレキシコンInc.のゼルボラフに関する営業権であり、競合品の市場参入等により収益性が低下する等の減損の兆候が見られたことから、9,538百万円の減損損失を計上し、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。」
競合品の市場参入等によるゼルボラフの収益性低下が顕在化し、95億3,800万円の減損損失を計上した。加えて、VN-100の開発中止なども記載された。 - FY2018顕在化有価証券報告書
「制吐剤配合麻薬性鎮痛剤CL-108の開発を中止いたしました。また、ミロガバリンの線維筋痛症患者を対象とした臨床試験において、主要評価項目が未達となったことを受け、同適応症での製造販売承認申請を断念いたしました。」
CL-108の開発中止、ミロガバリンの線維筋痛症適応での主要評価項目未達・申請断念、CHS-0214の開発中止などにより、新薬開発の中止・承認不確実性が具体化した。 - FY2018-Q3顕在化有価証券報告書
「当第3四半期連結累計期間の減損損失は主として当社における制吐剤配合麻薬性鎮痛剤CL-108の研究開発資産に関するものであり、開発及び販売契約を解約したことから、27,764百万円の減損損失を計上しております。なお、回収可能価額には使用価値を用いており、測定された使用価値は零となっております。」
CL-108の開発・販売契約の解約が実行されたことに伴い、研究開発資産の回収可能価額を零として277億64百万円の減損損失を計上した。 - FY2018-Q2顕在化有価証券報告書
「当第2四半期連結累計期間の減損損失は主として当社における制吐剤配合麻薬性鎮痛剤CL-108の研究開発資産に関するものであり、開発及び販売契約を解約することを決定したことから、27,764百万円の減損損失を計上しております。なお、回収可能価額には使用価値を用いており、測定された使用価値は零となっております。」
CL-108について開発・販売契約の解約を決定し、研究開発資産の回収可能価額を零として277億64百万円の減損損失を計上した。新薬開発の中止・資産価値低下という不確実性が具体化した。 - FY2017顕在化有価証券報告書
「非致死性の重篤な肝障害症例が2例報告されたことを受け、2016年10月に独立データモニタリング委員会より受領した勧告に従い、新規患者登録を中断し、安全措置を講じた上で、既登録患者(126名の患者登録計画に対して121名)にて試験を継続しております。」
ペキシダルチニブでは重篤な肝障害発生により新規患者登録を中断した。パトリツマブでは有効性基準未達により試験を中止し、チバンチニブでは主要評価項目未達により欧米開発を中止した。CL-108も現状の申請内容では承認されず、追加対応を進めている。 - FY2016初出有価証券報告書
「新薬候補品の研究開発には、多額の費用と長い年月が必要でありますが、その間に期待された有用性が確認できず研究開発を中止する可能性があります。また、臨床試験で良好な結果が得られても承認審査基準の変更により承認が得られなくなる可能性があります。」
研究開発費用・期間、候補品の中止、臨床試験後の承認取得を不確実性として記載している。