固定費負担と需要変動リスク
FY2016に初出。10回の記載のうち7回が「顕在化」で、最初の「顕在化」はFY2020。直近の記載はFY2025-H1。
ANAホールディングスがこのテーマで「悪化」側に入ったのは2020年。同じテーマの他社の中央値(2023年)より3年早い。
テーマ全体が最も大きく悪化側へ動いたのは2020年。20社中7社が悪化側に。
直近の記載が「顕在化」なのは、ほかに1社。
- FY2025-H1顕在化有価証券報告書
「費用面では整備費や人件費、燃油費等を中心に増加したことから、営業利益は前年同期と比べて減益となりました。」
運航規模拡大に伴う整備費、人件費、燃油費等の増加が、営業利益の前年同期比減益として現れた。 - FY2022顕在化有価証券報告書
「コロナ禍の影響が続いていることから、営業損失は1,731億円(前期 営業損失4,647億円)、経常損失は1,849億円(前期 営業損失4,513億円)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,436億円(前年同期 親会社株主に帰属する当期純損失4,046億円)となりました。」
需要急減に伴う固定費負担・損益悪化リスクは、営業損失1,731億円等の通期損失として継続して現れた。 - FY2021顕在化有価証券報告書
「人件費等の固定費を削減し5,900億円のコスト削減策(雇用調整助成金434億円の効果を含む)を実行しましたが、売上高の減少が非常に大きかったことから、営業損失は4,647億円となりました。」
需要急減に対応して5,900億円のコスト削減を実施したものの、売上減少が上回り、固定費・需要変動リスクが通期の巨額損失として現れた。 - FY2021-Q3顕在化有価証券報告書
「運航規模の抑制による変動費の削減に加え、人件費等の固定費を削減し4,730億円のコスト削減策(雇用調整助成金337億円の効果を含む)を実行しましたが、売上高の減少が非常に大きかったことから、営業損失は3,624億円、経常損失は3,507億円となりました。」
需要急減に対応して4,730億円のコスト削減を実行したものの、売上高の減少が上回り、巨額の営業損失・経常損失が発生した。 - FY2021-Q2顕在化有価証券報告書
「運航規模の抑制による変動費の削減に加え、人件費等の固定費を削減し3,330億円のコスト削減策(雇用調整助成金214億円の効果を含む)を実行しましたが、売上高の減少が非常に大きかったことから、営業損失は2,809億円、経常損失は2,686億円となりました。」
需要急減に対して3,330億円のコスト削減策を実行したものの、売上減少が上回り、固定費負担と需要変動リスクが巨額の営業損失・経常損失として続いている。 - FY2021-Q1顕在化有価証券報告書
「営業費用は前年同期と比較して2,000億円以上減少しましたが、売上高の減少が非常に大きかったことから、営業損失は1,590億円、経常損失は1,565億円、親会社株主に帰属する四半期純損失は1,088億円となりました。」
運航規模抑制や固定費削減で費用を大幅に減らしたものの、需要急減による売上減少が上回り、巨額の営業損失等が発生した。 - FY2020顕在化有価証券報告書
「当期の営業費用は、急激な需要の落ち込みに合わせて運航規模を抑制し費用の削減を図ったものの、売上原価が前期に比べ235億円増加し、1兆5,834億円となりました。販売費及び一般管理費は、前期に比べ34億円減少し、3,299億円となりました。」
需要急減に対して運航規模を抑制したものの、固定的な費用負担等により営業費用全体は前期比201億円増加し、固定費・オペレーションコストの硬直性が実績に現れた。 - FY2018再掲有価証券報告書
「当社グループは、航空機材費等の固定費、ならびに主として機種によって定まる燃料費及び空港使用料等、搭乗率の影響を受けない費用が全体のコストに占める割合が高く」
固定費負担、事業規模調整の制約、季節性による需要減少時の損益影響を継続して記載した。 - FY2017悪化有価証券報告書
「また、当社グループの航空旅客事業は夏場に売上が増加する傾向があるため、かかる時期において需要が大きく減少した場合には、その連結会計年度における当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。」
固定費負担と需要変動に加え、夏場への売上集中による季節性リスクを明記した。 - FY2016初出有価証券報告書
「当社グループは、航空機材費等の固定費、並びに主として機種によって定まる燃料費及び空港使用料等、搭乗率の影響を受けない費用が全体のコストに占める割合が高く、経済状況に即応した事業規模調整の自由度が低位なため、旅客数あるいは貨物輸送量が減少した場合、損益に与える影響が大きくなる可能性がある。」
固定費比率の高さと事業規模調整の難しさにより、需要減少が損益に大きく影響する構造を示している。