企業買収による期待利益・シナジー未達リスク
FY2019に初出。7回の記載のうち2回が「悪化」で、最初の「悪化」はFY2021。直近の記載はFY2025。
アイカ工業がこのテーマで「悪化」側に入ったのは2020年。同じテーマの他社の中央値(2023年)より3年早い。
テーマ全体が最も大きく悪化側へ動いたのは2025年。31社中10社が悪化側に。
直近の記載が「顕在化」なのは、ほかに9社。
- FY2025顕在化有価証券報告書
「当連結会計年度において、アイカウィルソナート上海社ののれん及び無形資産(顧客関連資産)について減損損失542百万円を計上しております。」
企業買収後の期待利益・シナジー未達リスクが実際に発生した。アイカウィルソナート上海社でのれん・顧客関連資産等542百万円を含む、固定資産等合計1,417百万円の減損損失を計上した。 - FY2024再掲有価証券報告書
「当社グループの当連結会計年度末の連結貸借対照表においてのれん2,782百万円及びその他(無形固定資産)4,651百万円(合計7,433百万円。総資産の2.7%)が計上されております。」
買収に伴うのれん・無形資産を合計7,433百万円計上し、将来キャッシュ・フローが計画を下回る場合の減損可能性を継続開示した。当年度の減損損失は計上していない。 - FY2023顕在化有価証券報告書
「当連結会計年度において、ソイス社及びアイカHPLトレーディング社ののれん及び無形資産(顧客関連資産)について減損損失1,308百万円を計上しております。」
企業買収後の期待利益・シナジー未達リスクが実際に発生し、ソイス社373百万円、アイカHPLトレーディング社935百万円ののれん・無形資産減損を計上した。加えて、アイカテック建材の事業環境悪化に伴う固定資産減損2,222百万円を含め、減損損失は総額3,531百万円となった。 - FY2022悪化有価証券報告書
「当社グループの当連結会計年度末の連結貸借対照表においてのれん4,799百万円及びその他(無形固定資産)4,961百万円(合計9,760百万円。総資産の4.1%)が計上されております。」
企業買収等に伴うのれん・無形資産が合計9,760百万円、総資産の4.1%となり、将来計画との乖離時の減損可能性を開示した。 - FY2021悪化有価証券報告書
「当社グループの当連結会計年度末の連結貸借対照表において、企業結合により生じたのれん4,589百万円及びその他(無形資産)3,534百万円(合計8,123百万円。総資産の3.9%)が計上されております。これらの見積りにおいて用いた仮定が、経済環境の著しい落ち込み、市場環境の著しい変化等により、将来の利益計画の見直しが必要になった場合、翌連結会計年度において、減損損失を認識する可能性があります。」
企業買収後の期待利益・シナジー未達リスクが、のれん4,589百万円と無形資産3,534百万円、合計8,123百万円という具体的な資産規模および将来の減損可能性に結び付けて開示された。 - FY2020再定義有価証券報告書
「企業買収の実施後に当社グループが認識していない問題が明らかになった場合や、買収先企業を取り巻く事業環境の著しい変化等により期待された利益やシナジー効果が得られない場合には、発生したのれんについて減損損失が計上され、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。」
買収後の期待利益・シナジー未達リスクを、未認識問題やのれんの減損損失発生に結び付けて具体化している。 - FY2019初出有価証券報告書
「当社グループは事業の拡大や収益性向上の有効な手段の一つとして企業買収を積極的に実施しております。企業買収に当たっては、買収先企業の財務内容、契約関係等の入念な調査・検討を行いますが、当社グループ及び買収先企業を取り巻く事業環境の著しい変化等により、期待された利益やシナジー効果が得られない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。」
企業買収を事業拡大・収益性向上の手段として積極実施する一方、買収後に期待利益やシナジーが得られない可能性を独立したリスクとして記載している。