高市政権の所信表明演説では、財政拡張が長期的に物価と賃金に及ぶ影響と、それを見据えた金利動向の可能性が取り沙汰された。財政拡張の効果が現れるまで時間がかかるとの前提の下、インフレリスクと長期金利上昇の可能性が論じられている。
10月5日に行われた高市早苗首相の所信表明演説を受け、国内投資を増やして潜在成長率を引き上げる方針が示された。一方で、それを財政政策だけで実現させるには時間がかかる可能性があり、その間にはインフレの高まりと長期金利の上昇といった副作用リスクが想定される。
この点について図表1に示された政策方針の解釈と、図表2で示された実質賃金の動向が焦点になる。財政拡大が実際に潜在成長率を押し上げるかどうかは不確実であり、実現には時間がかかるとの指摘がある。
物価高に対応する名目賃金と実質賃金の動きについて、名目と実質が乖離する現象が2024〜2025年に顕著であり、労働生産性の上昇が伴わなければ実質賃金の持続的な改善には繋がらないとの見解が述べられている。図表3の比較を根拠に、名目と実質の動向を分けて理解する必要がある。
日銀の金融政策との整合性にも触れられ、インフレリスクの高まりが長期金利の水準に影響を及ぼし得る点が指摘されている。日銀は物価上昇を抑制しつつ、経済が安定した軌道に乗ることを狙っているが、財政拡張によってビハインド・ザ・カーブの回避が難しくなる可能性もある。
今後の注目点として、東京都区部の9月CPIが3.0%と大幅に高まったこと、全国CPIが2%を上回る見通し、次回の利上げ時期としての12月17-18日が挙げられている。これらの動向が日銀の政策運営と市場の反応にどう影響するかが焦点となる。