欧米の経営理論が日本企業で通用するかを、現場と理論の往復という視点から岩尾俊兵氏と浜崎洋介氏が議論します。具体化と抽象化の循環を軸に、日本固有の価値観を経営に生かす考え方が中心です。
岩尾俊兵准教授と文芸評論家の浜崎洋介氏が、経営学の本質を現場の具体的経験から理論へと導き、再び現場で検証する“具体化と抽象化の往復運動”という考え方を軸に対話を展開します。欧米の理論と日本の企業文化の相違を踏まえ、日本固有の価値観を経営に活かす視点が強調されます。
対話の中で、野中郁次郎の言及を通じて「経営は生き方」であり、国家や地域の固有性を無視できないとの認識が示されます。英語圏中心のグローバル志向に対し、日本独自の文脈を重視することが世界での戦いにつながるとの主張が共有されます。
経験主義の重要性が浮かび上がり、日本語の丁寧な関係性や場面に応じた敬意表現といった日常言語の使い分けが、経営学の本質と結びつくとの見解が語られます。著者がこれまでの数式・シミュレーション中心の研究から転じ、現実の組織関係性を重視する価値創造の考え方へと向かった経緯も紹介されます。
岩尾氏は、具体的経験と理論の乖離を超えるための実践的手段として、個別の組織文脈に深く依存する経営学の特性を強調します。現場の観察と理論化、再適用の循環を通じて、グローバリズムの限界と日本の独自性がどう経営に活かされ得るかを検討します。