高市早苗首相が掲げる責任ある積極財政の具体像と、潜在成長率の引き上げを狙う政策の実効性、インフレ進行と日銀の利上げ方針への影響を巡る論点を整理する。
臨時国会の所信表明演説で、高市首相は国内投資を呼び込み、日本の潜在成長率を引き上げるとする“責任ある積極財政”の実現を目指すと表明した。これは税収の自然増と良質な雇用・所得の拡大、消費マインドの改善を通じてGDP拡大の好循環を作ることを目指す趣旨である。
この方針は、長期金利の上昇を招く背景の中で、リフレ政策ではないとの説明とともに、高圧経済政策としての性格を帯びるとの見方がある。官民による「危機管理・成長投資」で供給力を強化し、経済を拡大させる狙いが強調された。
潜在成長率の引き上げには労働生産性の向上が不可欠とされるが、そうした方向性が現実の供給力増強につながるまでには時間を要する可能性があり、インフレ高進という副作用が生じる懸念がある。
インフレ加速が続けば基調的な物価上昇率が2%の目標到達に向かい、日銀の利上げシナリオにも影響を及ぼす可能性がある。今後の展開には政策金利の定着と中立金利への着地が課題として浮上する。
日銀・FRBの議事やサナエノミクスの内実をめぐる論考も取り上げられており、政策の評価は今後の続報次第で変化する可能性がある。