日本銀行が基準金利を31年ぶりに1.25%へ引き上げたにもかかわらず円は下落し、円キャリー取引の規模が最大で約2.3兆ドルに達するとの見方が浮上。FRBの再利上げと金利差の維持が円安要因となり、海外資金の動向にも注目が集まっている。
日銀は18日の金融政策決定会合で無担保コール翌日物金利の誘導目標を1.00%から1.25%へ0.25%ポイント引き上げ、1995年以来の高水準となった。一方、円は直後に下落し、22日も円安が続いた。市場は日米金利差の維持を背景に円の弱含みを示している。レイ・アトリル豪ナショナル銀行外為戦略責任者は、日銀の政策決定が市場の期待を下回ったことが投資家の疑念を招いたと指摘した。
問題となっているのは国境を越えた円借入の急拡大だ。フィナンシャル・タイムズが引用したJefferies証券の分析によれば、2021年12月から今年3月までに円借入は67%増え、総額は360兆円、ドル換算で約2.3兆ドルに達する見込みである。円キャリー取引は低金利の円を借りて高金利通貨へ投資する戦略だが、全てが円キャリーに直結するわけではない。
円キャリーの清算リスクは大きく、過去には日銀の利上げと米国の金利動向が重なり清算が拡大した事例がある。 UBSや他の専門家は日銀が追加利上げを速めれば円高が急速に進む可能性と、急激な清算が市場を揺るがす懸念を指摘している。日銀のジレンマとして、緩やかな引き上げが円キャリーを拡大させ、速い引き上げが大規模清算を招く可能性があると分析されている。
海外投資の動向は清算以上に活発との見方もある。日本の投資家による米国株式・債券などの海外資産は約2.5兆ドル、海外ポートフォリオ資産の約5兆ドルの半分近くに達する。日本生命は米国インフラ投資に2兆円を計画するなど、国内金利上昇にもかかわらず海外資産への資金流入は続くとの指摘がある。