2026年秋に国内で大規模な被害公表が相次ぎ、委託先経由の侵入やAIによる攻撃の高度化が顕在化した。公表事例の概要と影響範囲を整理する。
今秋に相次いだインシデントは、京王電鉄グループのランサムウェア攻撃でサーバー障害が発生し、鉄道運行には影響がないものの漏えい件数は未公表となった。9月下旬以降、タイムズモビリティの不正アクセスで約160万件超の本人確認書類画像の可能性が指摘され、第一生命では従業員・退職者の人事情報約12万人分に関する影響が検討された。
また、日本経済新聞社では社員のMicrosoft 365アカウント乗っ取りにより約1,646人分の情報漏えいの懸念が挙げられ、大和証券の委託先サーバー経由の不正アクセスに関連して約22万件の情報が影響範囲として公表された。これと同時期に、スカラコミュニケーションズの管理サイトを介した不正ログインから、最大で約713,126件の問い合わせ情報が複数社に波及する事案が明らかになった。
さらに、両毛システムズのVPNアカウント悪用による侵入が契機となり、ガス事業者8社と自治体1件の計9組織へと影響が拡大した。サプライチェーン経由の被害は、IPAの調査でも取引先経由の侵入が約19.8%と指摘され、取引先への影響が被害の大半を占めることが示唆された。
こうした事案の共通要因として、AIによる自動化や投資の空白、外部委託先を介した侵入経路の三点が挙げられ、攻撃の速度低下を許さない状況が顕在化した。公表集中の背景には、報告実務の定着や早期公表の傾向も影響している可能性がある。