日本企業のAIエージェント戦略では、PoCから本番活用へ移行する際、データを資産として持ち続けつつAIの選択肢を自由に保つ設計を重視することが核心課題として挙げられている。
本連載は、日本企業がAIエージェントを活用・展開する際の課題を4つのC(Context/Choice/Control/Cost)の観点で整理する。今回取り上げるのはChoice(選択肢)で、データと文脈を自社資産として保持しつつ、使うAIを自由に選べる状態をどう保つかがテーマとなる。
“選べること”の意味としてAIの民主化が語られ、専門知識がなくてもAIを使えるようにする点が一般に重要視されがちだが、 GovAIの研究や英国の CMAは、民主化には利用・開発・利益・ガバナンスの異なる意味が含まれ、単純に同じとはいえないと指摘している。
AIエージェントの構成を俯瞰すると、中心となるのはハーネスと呼ばれるアプリケーションで、依頼を受けてLLMと対話を回しつつ作業を進め、文脈や記憶、ツール活用、スキルの読み込みを管理する。選択肢が特に大きいのはLLMであり、ハーネスとデータの持ち方にも選択の余地がある。
この設計思想はPoCを超えた本番活用に向け、データと文脈を資産として保持しつつ、エージェントが使うモデルやハーネス自体を“選び続けられる”状態をどう実現するかを焦点とする。