ソシオネクストがCadenceのAIエージェントを3nmプロセスの大規模SoC物理設計に適用し、今後他プロジェクトへの展開を進めると発表した。全体として最大で5倍程度の生産性向上を期待している。
ソシオネクストは、Cadenceと協業しAIエージェントの適用範囲をフロントエンド設計からバックエンドの物理設計へ拡大した。対象は先端3nmプロセスを用いた大規模SoCの物理設計で、CadenceのInnoStack AI Super Agentを活用する。今後は同技術を他のSoC開発プロジェクトにも展開する計画だという。
InnoStack AI Super AgentはCadenceが2026年4月に発表したデジタル実装・サインオフ向けAIエージェントで、論理合成・配置配線・タイミング解析・ECOなどの設計工程を対象とする。ソシオネクストはRAG・MCP・カスタマイズAIスキルなどを用い、蓄積した設計知識を物理設計のワークフローに組み込む。
適用領域としてはフロアプランニング、独自のタイミング解析チェック、将来的な設計チェックリストの自動化などを挙げ、熟練エンジニアの設計知識をAIエージェントから利用できるようにして組織全体での再利用を進める方針を示した。吉田久人社長は全体で最大5倍の生産性向上を期待するとしているが、具体的な評価結果は明らかにされていない。
CadenceはChipStack・ViraStack・InnoStackのAIエージェント群を相次いで展開しており、国内の本田技術研究所やRapidusなどと協業する動きも広がっている。ソシオネクストの取り組みは、Agentic AIが先端SoCの実設計ワークフローへ入り始めている事例として位置づけられる。