政府・与党は非中核事業の売却益について、成長分野への買収・投資へ充てる場合に法人税の繰延べを認める新税制を検討している。12月までに制度設計を詰め、2027年度の税制改正要望へ盛り込む方針だ。
政府・与党は、企業が非中核事業を売却して得た利益を成長分野の買収や投資に充てる条件で、売却益にかかる法人税の繰延べを認める新たな税優遇制度の導入を検討している。経済産業省は「事業ポートフォリオ転換・強化促進税制」の創設を2027年度税制改正要望に盛り込む方針で、具体的な制度設計を年末に策定する税制改正大綱へ反映させる。
複数の関係者によると、この案では企業が子会社株式や事業の売却で得た資金を数年内に中核事業に関連する買収へ再投資し、買収後の事業への投資も確約することを条件に、売却益にかかる約30%の法人税を無期限に繰り延べられる。再投資には賃上げや設備投資などの成長投資も含まれる見通しで、売却から買収までの期間などは今後調整される。
背景には、多くの日本企業が低収益事業を抱え資本を成長分野へ回せていないとの政府の問題意識がある。経産省データでは資本コストを上回る価値を生む部門への資本配分は35%にとどまる。今回の案はドイツの類似税制を参考にしたもので、持ち合い解消と事業再編を促す狙いがある。
新税制が実現すれば、低収益事業の売却と成長分野への資本再配分が加速する可能性がある。ただし、売却から買収までの許容期間や再投資先の範囲、投資コミットメントの検証方法など実効性を左右する制度設計の詳細が焦点となる。経産省は中小企業の賃上げを促す税制優遇の拡充や、特別措置の延長と新たな減税制度の創設も検討している。