日銀は基調物価が2%に到達したと判断し、約14年で政策の節目を迎えた。金利は現行水準を維持し、物価の安定維持へ政策の着実な転換を進める。
日銀は10月30日の金融政策決定会合で、基調的な物価の上昇率が目標の2%に到達したと判断した。これをきっかけに、約14年に及ぶ金融政策の長期的な枠組みを見直す節目となる。政策金利は現行の1.25%程度に賛成多数で据え置かれた。これにより、物価を押し上げる方向から、2%の安定維持へと主眼が移る。
植田和男総裁は会見で「物価の見通しには上振れリスクが大きい」と述べ、利上げ方針を維持する姿勢を示した。6月会合の引き上げを0.9~1.0%程度、9月会合で1.25%程度へと進めてきたが、ペースアップは避けられた。高田創審議委員は1.5%程度への利上げを主張し財政運用の維持に反対した。
同日公表の経済・物価情勢の展望リポートでは、基調物価が「おおむね整合的な水準」として2%に近づいているとの見解を改め、ETFの売却ペースを簿価で現在の年間約3300億円程度から来年1月以降は約8600億円程度へ引き上げる方針を示した。
26年度の実質国内総生産(GDP)成長率見通しは、7月時点の0.6%から0.7%へ上方修正され、人工知能(AI)需要の高まりを反映した。日銀は賃上げが定着し、賃金と物価がともに緩やかに上昇していると判断。緩和的な金融環境を維持する必要はなくなり、金融政策は過度なインフレを抑える方向へ舵を切る。