日銀の基調的な物価上昇率が2%に近づくとの判断を、植田総裁の発言と公表指標の動きから整理する。
今回のキーワードは基調的な物価上昇率である。10月19日、参議院予算委員会で日銀の植田和男総裁は基調的な物価上昇率が「徐々に高まっており2%にかなり近づいている」と語り、2%程度の水準に安定させていくことがより重要との見方を付け加えた。
この発言の背景には、日銀が基調的な物価上昇率が2%に達していないことを緩和的金融環境を維持する理由としてきたという従来の説明がある。一方、G20会議後の記者会見でも「これ以上上がることは容認できない」との発言があり、2%に接近する局面を強調する日銀の認識が浮かび上がる。
基調的な物価上昇率とは原油や生鮮食品の変動といった一時的要因を除いた持続的な物価上昇の勢いを示す概念だが、日銀がそれを直接示す単一の統計は存在しない。日銀は刈込平均値や加重中央値などの指標、予想物価上昇率、経済モデル推計を総合して判断している。
本文では消費者物価指数の上昇率が鈍化している一方で政府の補助金政策が家計の負担を抑え、物価上昇率を押し下げる要因となっている点にも触れている。日銀の判断材料として挙げられる物価指標には、通常のCPI以外の複数指標が含まれる。