AI時代の半導体は設計から製造までを内製化する動きが加速。テラファブの公表とIntelの参画、SpaceXの資金動向、中国の国家資本による自己完結など、垂直統合推進の二つの潮流が浮かぶ。
半導体は従来の部品の域を超え、AIやデータセンター、モビリティ、宇宙・防衛など幅広い分野の競争力を左右するインフラとして捉えられている。市場規模は2026年に約1.5兆米ドル、2027年にはさらに成長見通しとされ、AI向けのメモリとロジックの需要が牽引するとの見方が示されている。これを背景に、設計と製造を一体化する垂直統合の動きが再燃している。
野心型の垂直統合は民間資本と需要見通しを出発点に、設計から製造・テスト・データ活用までを一体化する構想としてテラファブが取り上げられた。TeslaとSpaceXが共同で進め、Intelが製造パートナーとして参画、1.4nm級プロセスを掲げ年間1テラワット規模のAIコンピュートを目指す。需要は現時点で世界の供給能力の約2%程度しか賄えないとの前提で、設計・製造・パッケージング・テストを一体化する再帰的ループを志向する。
制約の垂直統合は中国が国家資本を背景に自己完結を進める動き。大基金第3期には約475億ドル相当の資金を投入し、国内で設計・製造・材料・装置を連携させる。製造ではSMICがDUV露光を重ね7nm級技術を確立し、Huaweiの端末にも供給されている。一方、先端露光装置の供給は難題で、量産は現状の技術水準での達成を優先している。中国はLogicFoldingを含む新設計思想で、芯片の微細化に依存しない性能向上を打ち出している。
考察パラグラフ:共通点と課題は、両型とも需要を確保し投資回収の道筋を描けるかが成否の分かれ目である点だ。野心型は資金と需要の同期、制約型は歩留まりと採算のバランスが焦点となる。AI時代の競争軸は個別の製品性能よりも産業基盤の確保へ移行しつつあり、複数のエコシステムが共存する可能性が高い。双方とも外部サプライヤーとの協力関係を前提とし、国内装置・材料の国産化や提携の深さが鍵となる。
PwCの日本企業への示唆は、垂直統合の再来をどう自社戦略へ落とし込むかという視点が重要である点を強調している。正式要求を待つのか、初期段階から共同開発に参加するのか、投資設計をどう組み替えるのかが問われる。日本企業は川上技術の強みを生かしつつ、供給配分・開発ロードマップの全社最適を図るべきだとの指摘がある。