9月に入りドル円は1ドル160円近辺から一時152円台まで急速に円高・ドル安へ振れた。日銀の追加利上げ観測や米財務省の円安是正姿勢、GPIF資金の国内回帰が背景で、今後のFOMCと日銀会合が焦点となる。
9月に入ってドル円は急速な円高へ振れており、1ドル160円近辺から一時152円台まで下落している。背景には日銀の追加利上げ観測と米国の円安是正圧力、GPIFを巡る資金シフト観測が重なる状況があり、円売りポジションの巻き戻しが加速している。日米金利差が前提だった市場の見方も揺らぎ始めている。
米財務省が円安是正の姿勢に言及したことは市場で重要な意味を持つ。ベッセント長官は日銀総裁と会談し、円の過小評価を指摘しつつ、円安がインフレ圧力につながっている点を踏まえ、日銀の金融政策正常化を含む対応を支持する姿勢を示した。これにより日米金利差縮小の見込みが高まるとの解釈が広がった。
日銀の高田委員の発言は、利上げペースの前提を揺らす材料となった。機動的な利上げが必要な局面への移行を示唆し、従来の“時間を空けて0.25%ずつ”という見方に挑戦する内容だった。植田総裁は9月の会合で経済・物価の上振れリスクを点検するとしており、9月利上げの可能性は排除されていない。
GPIFを始めとする国内機関投資家の資金配分にも注目が集まる。GPIFは約318兆円を運用しており、基本ポートフォリオは国内外の債券・株式を25%ずつと想定しているが、国内債の利回り上昇により海外資産への資金回帰の可能性が議論されている。これが海外資産売却と円買いを誘うと、市場は円高要因として織り込んでいる。
今後の焦点はFOMCと日銀会合。FOMCは9月15-16日で利上げの有無だけでなくドットチャートや見通し、ケビン・ウォーシュ議長のインフレリスク感知が注目される。日銀会合は9月17-18日で、追加利上げの有無よりもペースと今後の方針が焦点となる見込み。市場は9月に追加利上げを織り込む一方、介入の可能性にも留意している。