新株予約権の行使状況を月次で追跡する実践を解説。公開情報だけを用い、行使が市場へ供給する株式の量と時期を読み解く手法を紹介する。
株価は業績だけで動くものではなく、株式需給の変化も大きく影響する。とくに新株予約権の行使は、交付株式数の増加や希薄化の可能性を通じて、株価の上昇・下落に関与し得る。発行と行使は別個の出来事であり、発表日と実際の行使日、売却日を分けて捉える必要があることが詳述される。
東京証券取引所の開示制度では、MSCB等に対し月初に前月の転換または行使状況を開示する義務があり、大量行使とみなされる条件が整えば直ちに開示される。月間行使状況がなければ開示は不要だが、行使価額が修正された場合には別途開示が求められるという枠組みが説明される。
個人投資家が活用できる手掛かりとして、月間行使状況の資料から前月末の未行使残高、今月の行使数、交付株式数、未行使残高の推移、行使価額、月間の出来高との関係を追うことが挙げられる。これを月次でつなぐと、株式供給が進む時期を絞り込める。
行使状況の把握は、株価の判断を誤りにくくするためのリスク管理にもつながる。未行使残高が大きければ将来の供給が多く、行使が急速に進めば市場への供給が増える可能性がある。決算だけでなく、株式需給の把握を同時に行うことが重要だ。