MSワラントは行使価額を株価に合わせて修正する新株予約権で、株価上昇時に新株発行が加速する。一方で、潜在株式の拡大を抑える工夫や資金使途の実態を確認する3つのチェックポイントと、実際にMSワラントを抱える企業の事例を整理します。
MSワラントは株価を基準に行使価額を毎日修正するしくみで、株価が上がれば割当先は市場より安く株を取得しやすくなる。その結果、株価上昇局面では新株の供給が増え、株主にとっては希薄化と売り圧力の双方を意識する局面が生まれる。
制度側はMSCB等として月次での行使制限を設け、株式数の拡大を一定割合に抑える運用を前提としてきた。ただし、発行決議日の終値以上の場合には例外適用が認められるケースもあり、株価上昇時には大口の行使が積み上がることがある。実際にはフジコピアンの例で、9月に月間交付株式数が急増し、10月には全残株が行使完了と公表された。
チェックポイントとしては三つ挙げられる。第一は最大どれだけ株が増えるかという希薄化の天井。潜在株式総数を発行済株式数で割ると、10%未満は影響が限定的、25%以上は大きな希薄化となる。第二はディスカウント率や下限行使価額、行使停止条項などの設計。第三は資金使途の具体性と実際の資金充当状況で、事業成長につながるかを確認することだ。
実際の事例として、ひとまいるは行使停止指定でペースを抑制する設計、フジコピアンは下限を株価の水準別に設定して段階的に行使を促す方式、FIXERは下限を発行時株価より高く設定して途中で取得・消却する設計を採用している。TORICOは暗号資産投資へ資金を回すためMSワラントを発行し、Delta-Fly Pharmaは希薄化率が極めて大きいが資金需要を満たす設計を採用するなど、設計と資金使途の組み合わせが銘柄ごとに異なる。