日本企業は近年のランサムウェア攻撃の標的化と、地政学的対立の激化を背景に、サイバー防御を強化する必要性が高まっている。主要事例と政府・研究機関の評価、企業が取るべき対策を整理する。
ここ1年で日本企業を狙うランサムウェアによる被害事例が相次ぎ、アサヒグループホールディングスやアスクル、ニチレイ、京王電鉄グループなどの事案が報じられた。被害は受注・出荷の遅延や売上影響につながり、サプライチェーンの脆弱性が顕在化した。
国際的評価では、ITUの世界サイバーセキュリティ・インデックス2024で日本は総合点97.58と高評価を得た一方、ハーバード大学ベルファー・センターの国家サイバー・パワー・インデックス2022では16位と相応の差がある。重要インフラを標的とした攻撃への対応能力を巡る指摘が続く。これらの評価から、日本は重要インフラ停止を招く攻撃に対する検知と復旧能力を強化すべきとの指摘がある。
地政学リスクの高まりを背景に、水道・電力など重要インフラを標的とするサイバー攻撃の拡大が懸念され、日本国内でも水道施設への対策強化が国土交通省の補助金対象に追加された。イスラエル・米国の Iran 攻撃関連の動向からも、攻撃は地域を越えて広がりうるとされる。今後の警戒が求められている。
企業の防御としては、IT資産の棚卸とシャドウITの把握、多要素認証の導入、挙動検知による侵入後の監視、バックアップ体制の整備が基本となるとされる。また、AIを悪用した詐欺手口やシャドウAIへの対策、従業員教育の強化も重要視されている。