日本国内で大規模な情報漏洩が相次ぎ、企業が委託先のセキュリティ対策を適切に確認していない実情が専門家の警鐘として浮上している。
東京電機大の寺田真敏教授は、情報漏洩の背景には委託先のセキュリティ対策を過信する企業側の前提と現実の乖離があると指摘する。タイムズカーの会員約660万人分のアカウント情報流出のほか、IDCフロンティアへのランサムウェア攻撃では約495の企業や自治体が影響を受けたことが伝えられている。NECは委託先の認証情報を窃取され、複数顧客のシステムに不正アクセスがあったと公表している。
名古屋銀行は企業年金サービスのメール配信システムを運用する委託先経由で顧客の氏名やメールアドレスが漏洩した可能性があると発表したほか、大和証券の委託先での不正アクセスにより岩手銀行の顧客情報が漏洒した可能性も指摘されている。こうした事案では、顧客側に大きな過失がなくても情報流出が起こり得るとして、内閣サイバー統括室は委託先のセキュリティ管理状況の継続的な確認を呼びかけている。
アプリを含む現場のリスクとして、消費者向けアプリのデータ流出や、ウェブサイトと比べて内部構造の情報がコードに含まれる点が挙げられる。AIの発展で脆弱性発見が加速する一方、攻撃手法は従来の手口の再発も見られ、AIを使った偽情報の拡散やターゲティング詐欺が懸念されている。専門家は防御と攻撃の両面での体制強化を求めている。