フォスター+パートナーズとオカムラが共同開発したタスクチェア「MUKU」を、建築家・芦沢啓治が空間との関係性と佇まいの観点から読み解く。構造を前に出さず、長時間の作業を支える機能と静かな美を両立する設計思想を紹介する。
MUKUは空間に自然に溶け込むことを目指して設計されたタスクチェアで、オフィスや在宅勤務など多様な場面での使用を想定している。芦沢啓治は椅子が空間の印象を大きく左右する要素であるとし、機能性だけでなく佇まいの統一感を重視する姿勢を語る。
椅子の座り心地だけでなく、誰が、どのくらいの時間使うのか、空間にどんな雰囲気をもたらすのかといった要素を総合的に評価する視点が紹介されている。MUKUは過度な機構を前面に出さず、空間の眩しさを減らす設計を取り入れている。
建築的な思考を反映した構造とディテールが特徴で、背面はメッシュ、座面下の調整機構は薄く収まり、空間を圧迫しない佇まいを生む。アンクルチルトリクライニング機構を搭載し、自然な姿勢の変化に対応する。
長時間の使用を前提に強度試験をクリアし、4色展開のカラーで材料間の統一感を保つ。再生材の比率やリサイクル性を高めつつ、長寿命で環境配慮につながる設計を目指している。
椅子は空間の風景の一部となる存在であり、機能と造形を主張しすぎず、周囲と良い関係を結ぶことが重要だという視点で締めくくられている。