SHEINの香港上場と欧米の規制強化を背景に、日本企業で価格転嫁が進んだ事例としてファーストリテイリングとしまむらの動向を紹介する。安値競争だけでなく、機能性やPBで価値を訴求する企業が注目されている。
SHEINは世界のアパレル市場を低価格で揺さぶり、2026年9月1日に香港市場へ上場した。上場時の企業価値は約260億ドルで、2022年の評価額約982億ドルと比べて大幅に縮小している。欧米では少額輸入品への免税見直しが進み、同社の売上の約60%を占める欧米市場の前提条件が変化している。フランスでは2026年から環境負担を課す制度が始まるほか、欧州全体で生産者責任を強める動きが続く。日本企業にも原材料費や物流費、労務費、エネルギーが上昇する中で「コストを吸収して安値を守る」企業ほど利益率を削られるとの見方がある。
経済産業省の2026年6月公表の調査では、中小企業6万9,625社の価格転嫁率は54.2%で、原材料費は55.7%、労務費は50.0%、エネルギーは48.9%にとどまった。本文では値上げだけでなく、値引きを抑制し客単価を上げ、価格改定後の売上・粗利・営業利益率の改善を確認できる企業を重視する方針が示されている。