買収拒否が企業価値の毀損を招くケースが増え、危機時には経営陣・支配株主・社外取締役の三者が同方向に動き、コストを外部化する構造が発生する。
近年、日本では買収提案や非公開化提案を拒否した後に企業価値が毀損した事例がみられ、なぜ経営陣・支配株主・社外取締役が危機時に同じ方向を向くのかを論じる。コーポレートガバナンス・コードの改訂や市場からの開示要請が背景にある。平時には株主との対話が重視されるが、危機時にはこの構図が変化する可能性がある。
経営者は存続の危機時に堅実な再建策よりも一発勝負を選ぶ合理性を持つとされ、成功すれば評価が高まる一方で失敗時の損失は小さいという前提が存在する。株主も有限責任下で投資額を超えない範囲のリスクを取り得るとされ、リスクシフトが生じるとの指摘がある。
一部の創業家やオーナー系株主は経済合理性以外の理由で株式を保有する場合があるが、経営者と情報・意思決定を共有し独立監督機能の面で機能しにくいケースが多い。危機時にはこの関係性が企業の意思決定に影響を与え得ると指摘される。