日本で外国資本の審査強化が進む一方、今年1〜9月の日本企業関連のM&Aは件数・規模ともに過去最大となり、海外ファンドの買収が増加している。円安を背景に資金調達コストが相対的に下がり、事業再編への動きが活発化している。
今年1〜9月の日本企業関連のM&Aは3883件となり、1985年以降で同期間として初めて最も多くなった。海外投資家による日本企業買収は326件で、前年同期を大きく上回り買収額は約6兆2000億円に達した。全体のM&A金額は22兆円で、昨年同期と比べて減少傾向にもかかわらず大型取引の集中が一因とみられる。
大型案件を牽引したのは海外私募ファンドで、アポロ・グローバル・マネジメントが日本板ガラスを約5900億円で買収し、KKRはダイヨーホールディングスを約5000億円で取得する方針を示している。さらにカカクドットコム買収戦略で欧州系ファンドと米系ベインキャピタルを巡る競争が活発化している。円安により海外資金が日本企業買収を促す要因が指摘される。
国内企業の事業再編の動きとして、ルネサスエレクトロニクスはタイミング部品事業をサイタイムへ売却する見込みで、今期2四半期の決算には約4433億円の売却利益が反映される見通しだ。政府は来年以降、改正外国為替法の全面適用を開始し、経済安保規制の緩和の可能性を含めて外国資本の審査範囲を拡大する方針だ。加えて来年からはミニマムタックスの強化が予定され、特別控除額が減額され適用税率は上がる見込みで、創業者やオーナーの資産売却の動向にも影響が出る可能性がある。