黒田東彦前総裁が政策正常化の継続を支持する一方、若田部昌澄前副総裁は拙速な利上げを警鐘とする著書を相次いで刊行し、日銀の路線対立が浮き彫りになった。
日本銀行の黒田東彦前総裁と若田部昌澄前副総裁が、それぞれ相次いで著書を出版している。大規模な金融緩和を出発点としつつ、利上げ局面をどう見るかで両氏の評価が分かれ、現状の政策運営を巡る論点が露わになった。
黒田氏は今月出版の著書で、植田和男総裁が進める政策正常化を支持すると明言。利上げペースが速すぎれば景気を冷やす可能性、遅すぎれば正常化の完了が遅延するとの見解を示し、0.25%刻みの利上げを想定した展望を描いた。
一方、若田部氏は9月出版の著書で総需要を積極的に支える戦略を主張し、拙速な利上げに警鐘を鳴らす。実質成長が弱い中での利上げには説明が必要だとの考えを示し、財政政策との関係性にも触れている。
両氏の著書はアベノミクス期の回顧と今後の金融政策設計の論点を結びつけ、日銀は植田体制下での利上げを進めつつ中立金利へ向かう過程で、結論をめぐる議論を促している。