第2次安倍政権は異次元の金融緩和を推進し、日銀の巨額国債買いで財政運営を支えたが、財政規律の弱体化と長期的な負担が残ったとする著書の検証記事。2024年以降の金融正常化と2026年の金利上昇も取り上げる。
2012年12月に発足した第2次安倍政権はデフレ脱却を掲げ、金融緩和を柱とするアベノミクスを推進した。特に2013年4月、黒田東彦総裁の下で日銀が「異次元の金融緩和」を開始し、2%の物価目標を掲げたのが大きな転換点となった。
本書はこの異次元緩和の経緯と負の遺産を15年以上の取材を通じて描く。登場人物として山本幸三氏ら自民党議員、岩田規久男氏らの学者、財務官僚の本田悦朗氏らが挙げられ、リフレ派の政策実現を巡る政治と経済の結びつきを検証する。
日銀の国債買い支えは財政規律の弱体化を招き、財政赤字の拡大を可能にしたとの批判がありつつも、長期金利をゼロ近くに抑える効果があった。2013年3月末の保有残高125兆円が2023年3月末には約582兆円に膨張し、保有比率は53%を超えた。
2022年以降の世界的インフレと円安を受け日銀が金融正常化に転じ、2026年には長期金利が3%を超える局面も生じている。今後の国債の借り換えが進む中で利払い費の増加が懸念される。
本書は金融政策だけでなく消費増税を巡る日米財務省との対立や、政治権力と経済理論の結びつきが国家政策に与えた影響を描く政治経済ノンフィクションであり、現在の経済リスクを考えるうえで読みどころとされている。