日銀総裁人事の内幕を黒田氏が著書で明かす。雨宮正佳副総裁が就任を固辞した経緯と、植物的に起用された植田和男氏の背景が浮かぶ。
黒田東彦氏の新著によると、後任として雨宮正佳副総裁を想定していたが本人が就任を固辞し、最終的に学者出身の植田和男氏が総裁に起用された経緯が浮かぶ。雨宮氏は金融緩和を推進してきた自分が正常化まで対応するのは難しいと語り、就任を拒否した。官邸からは経済学者4〜5人の名前が含まれるリストが届き、総裁・副総裁候補が推薦される非公式な依頼があったが、植田氏も候補として挙がっていた。
黒田氏は植田氏と1980年代に知り合い、理論だけでなく実務判断力を高く評価していた。植田氏は金融政策の実務能力を発揮した例として、速水日銀がゼロ金利を解除した際の反対票と、フォワードガイダンスを世界で初めて日銀に導入した点を挙げている。
黒田氏は任期中の異次元緩和を「反省なし・負の遺産とも思わない」と語り、ETF売却を含む収益構造の見直しが今後の市場動向に影響を与えるとの見解を示す。植田総裁は金融正常化を円滑に進めると期待され、日銀の国債買い入れ減額の停止時期やETF・J-REITの売却方針が市場への影響を抑えつつ進められる見通しが示される。