日本の生産性ダイナミクスは、企業内部の成長から市場主導の資源再配分へ移行しているとの指摘と、新データセットを使った実証結果が示された。M&Aを通じた高生産性企業の退出と資本深化が、長期停滞克服の鍵として注目される。80〜120字程度。
本コラムは、日本の生産性停滞の背景をミクロデータから検証し、生産性ダイナミクスが1990年代後半から2010年代にかけて「企業内部の成長」から「市場による資源再配分」へ移行していると指摘する。特に大企業の内部投資が鈍化する一方、資源の再配分が総生産性成長の新たな原動力となっていることを示す。
新データとして帝国データバンクが提供する1999年から2020年の企業財務データを用いた大規模パネルを用い、製造・非製造を問わず中小企業を含む23万社超を網羅している点が強調される。これにより、企業の誕生から退出までのライフサイクル全体を追跡できるとされる。
分析結果は、2000年代の総生産性成長がほぼ完全に企業内部効果で説明される一方、2010年代には資源再配分効果が主要原動力へと転換したことを示す。中小企業ではTFPの伸びが大企業を上回るとの観察も得られている。
負の退出効果の内訳では、合併によって退出した高生産性企業のTFPが存続企業より高いことが分かり、全体の負の退出効果の半分程度を合併が説明するとの見解が示される。これにより市場の創造的破壊の機能が再評価されつつある。
政策示唆として、政府は市場主導の資源再配分を妨げない公正競争環境の維持を優先すべきとされ、M&Aの規制緩和やコーポレート・ガバナンスの改善などが挙げられる。経済の新たなダイナミズムを受け入れる時期が到来している。