米国関税還付の総額は1,660億米ドルにのぼり、日本企業の現地法人の仕入れは9兆円規模、還付がEPSに及ぼす影響や市場の反応の現状を野村證券ストラテジストが解説します。
2025年4月に発生した米国の相互関税ショックを経て、2026年4月後半に始まった関税還付のプロセスは注目が集まりにくい状況にある。背景には情報開示の少なさがあるとされ、相互関税の総額1,660億米ドル(26兆円)が米国景気やマクロ政策運営に影響を及ぼすと指摘される。
日本企業の米国現地法人における海外からの仕入れ額は9.0兆円で、そのうち日本からの輸入は7.1兆円、第3国からの輸入は1.9兆円。今回の還付対象は自動車・鉄鋼・サービスを除く卸売・輸送用機器・鉄鋼・サービスを除く現地法人全体の売上・仕入れ構造の一部と解される。
日本企業の関税還付はおおむね4,000-5,000億円規模と試算され、実効税率は約5%前後になる見込み。還付額が1社で300億円程度と見込まれるケースもあり、2026年度のTOPIXのEPSを0.6-0.7%押し上げる可能性がある。
株価反応は現時点で鈍いとの指摘があり、還付恩恵を受ける可能性のある企業群は化学・素材、タイヤ、建機、工作機械、エアコン、電機・精密、輸送用機器、ゲーム機と幅広く及ぶ。消費財企業では還付を消費者へ還元する動きも見られる。
市場が還付を認識するタイミングは遅れる可能性があり、4-6月期以降の決算で関税還付が利益項目に反映されるケースが増えると見込まれる。過去のIEEPA追加関税は決算の売上原価や販管費として計上済みで、還付を受けた期には特別利益や営業外収益として認識される見込み。