ANAホールディングスの片野坂真哉会長は、コロナ禍で退職する社員5名に対し、転職先へ持っていけるよう2人ずつ記念写真を撮影して送る餞の儀式を行った。
コロナ禍の影響が深刻化する中、ANAは社員の雇用を守る方針を最優先し、経営陣の報酬削減や全社員の賃金カットなど、厳しいコスト削減を実施した。 SARSやCOVID-19の過去の教訓を踏まえ、危機時のリーダーシップの在り方を問う状況が生まれていた。
会長はまず「雇用は守る」との動画メッセージを全社員へ発信し、賃金は平均で約3割カット、賞与はゼロとする決断を公表した。組合の反対は大きくなく、多くの従業員が理解を示したとされている。
辞めていく社員には、退職前に会長が直接挨拶に来る機会を設け、2人ずつ計5名の退職者へ「転職先に持っていけ。ANAで大事にされていた証拠になる」と伝え、記念写真を撮影して送り出した。
この行動は、危機の最中でも社員を支えるリーダー像の一端として紹介され、会社の危機対応と人材の扱い方を示す事例として伝えられている。
本稿は、片野坂会長のリーダーシップ観と、非常時における組織の対応を中心に、ANAの危機対応の一端を読み解く内容となっている。