AIロールアップがM&Aの新たなパラダイムとして伝統的企業を再編する動きが加速。Thrive Holdingsが20億ドル超の資金調達を完了し、評価額は120億ドルに達した。OpenAIの人材派遣を受けつつ、70社超の企業を保有・運営している。
Joshua Kushner傘下の Thrive Holdings が、これまでの資金調達を合わせ累計30億ドル超を調達し、直近で20億ドル超の資金調達を完了、評価額は120億ドルに達した。Thrive は汎用大規模モデルを持たず、 Cursor や Lovable のようなAIソフト企業でもない。最も主要な事業は伝統的なプライベート・エクイティの企業買収であり、買収後は財務・オペレーション統合に加え、AIを中核業務プロセスへ組み込み再設計している。
同社は会計事務所やITサービス事業者を中心に70社以上を保有・運営。確定申告やテクニカルサポートなどの業務をAI改修で再設計し、OpenAIは昨年株式を取得、研究・プロダクト・エンジニアリングの人員を派遣して支援した。これがAIロールアップの核心であり、買収後の価値創出をAIが担うモデルだ。
Current は同グループの会計プラットフォームで、Tax AI の共同開発により確定申告処理件数を増やし、申告準備時間を約31%短縮、データ入力の正確率は最大98%に達したと公表。Dwelly は英国の不動産仲介業者を買収し、物件管理戸数を大幅に拡大、AI による運用効率の向上を強調している。
このAI-enabledロールアップは従来の規模のシナジーに加え、AIによる生産性向上を評価要因へ組み込む点が特徴。従来は人員拡大に依存してきたプロフェッショナルサービスの成長モデルを、AIを用いたデータ処理・業務自動化で置換・補完する試みとされる。
ただし評価の正当性には課題もある。AIが実際に売上・利益をどれだけ押し上げるかは未確定で、買収価格に見合う成果を現時点で完全には証明できていないとの指摘もある。