トヨタ自動車の新社長にCFO出身の近健太氏が就任するなど、現場叩き上げ以外の財務畑出身トップが増えている。財務知識を活かした資本運用やIR対応が求められる時代背景が背景にある。
トヨタ自動車の新社長・CEOにはCFO出身の近健太氏が起用され、4月1日に就任する予定である。現場育ちの伝統的イメージに対し、企業トップに財務畑出身者を据える動きが注目されている。
CFOは財務戦略を統括し資金調達や投資判断を管理する責任者として、IR窓口を兼ねることも多い。日本でCFOという呼称が広まったのは1995年頃とされ、財務部門のトップとしての役割が強化されている。
上場企業の「代表取締役の異動」や「役員人事」におけるCFOの言及件数は2020年前後から増加傾向にあり、2021年以降は少なくとも毎年5件以上がCEOへ昇格していると著者は推計している。海外では米国のS&P 1500企業で約10%、全世界で約20%がCFO経験のあるCEOとされる。
財務に強い人材がトップに就く理由として、投資家対話の重要性が高まる点と金利上昇局面による資本コストの影響が挙げられる。IRの重要性が増し、資本市場の信頼を得るには財務知識が有利とされ、金利上昇は投資判断の難易度を高める要因として指摘されている。