ロシアの大統領令により日本たばこ産業JTの海外子会社4社が一時管理下へ移され、経営権は事実上ロシア企業へ移る状況が発生した。今回の動きはJTの海外買収戦略と政府の筆頭株主という特殊性を改めて浮き彫りにする。
2026年11月5日、プーチン大統領がJTインターナショナルがロシアに持つ事業をロシア企業「インダストリアル・アセッツ」へ一時管理下に置く大統領令に署名した。対象はサンクトペテルブルクの工場を運営するペトロ、ロストフ・ナ・ドヌのドンスコイ・タバク、リペツク州のJTIエレツ、レニングラード州のクレス・ネヴァの4社である。
JTは従業員などステークホルダーを第一に状況と今後の選択肢を検討しているとコメントしたが、ロシア事業の経営権が事実上奪われる事態となり得る。张力を伴うこの出来事は、JTの成長モデルと日ロ関係の絡みを浮かび上がらせる。
ロシア市場はJTの売上の約1割を占め、利益でも大きな比重を占めていた。ロシアでのJTIの市場シェアは約4割、現地の4拠点で約4000人が従事しているとされ、2022年度のグループ営業利益に対するロシア比率は約22%、2023年度は約25%が見込まれていた。
過去には撤退した企業もある中で、JTは新たな投資とマーケティングを停止しつつ撤退を選ばず、結果として現地資本に経営権を握られる構図が生じた。今回の措置はカナダ訴訟リスクと同様の買収リスクを内包しているとの分析もある。