三菱マテリアルが今期第1四半期決算を公表し、経常利益が大幅に上方修正され、売上高や純利益も上振れ。タングステンの価格差改善が背景となり株価が急騰した。一方、今後の在庫要因の消化や逆回転リスクには注意が必要。
三菱マテリアルは今期(27年3月期)第1四半期決算で、売上高を前期比で大きく引き上げ、経常利益は前期比で大幅増の見通しへと上方修正しました。公表された新計画では売上高が2兆4000億円、経常利益が1800億円、純利益が1400億円と見込まれ、ROEは18.5%と従来目標を大きく上回る見込みとなっています。株価はこの決算を受けて急騰しました。
上方修正の主因は、タングステンにおける原料と販売の価格差の拡大です。タングステンの中間生産物であるAPTは前年同期比で約7.5倍に高騰しており、26年6月からの値上げ対応により原料価格差の吸収が進み、採算が大幅に改善しました。これにより、通期予想の経常利益が大きく増額されました。
今期の業績好転は在庫要因だけでなく、外部需要の回復に伴う自社製品の販売数量増加と価格の適正化も寄与しています。しかし、今後は安価在庫の払い出しが終息する見通しで、タングステン市況の高止まりが続くかは不確実です。リサイクル調達や一貫生産体制を活用することで、下支えは期待されますが、逆回転リスクには留意する必要があります。
今後の成長を支える要素として、同社はAPT生産能力の倍増計画を進めており、リサイクル比率の向上と自社精錬機能の強化を進めています。26年9月にはリサイクル能力の強化を発表し、29年4月の本格稼働を目指す方針です。製品事業での優位性と素材コストの抑制が、長期的な競争力の鍵になると見込まれます。