オービックビジネスコンサルタント(OBC)ら8社が参加する Born Digital研究会が、デジタル化による個人所得申告の新しいあり方に向けた提言と、英国における税務のデジタル化調査報告書を同時に公表した。
提言の主眼は、日本の年末調整・確定申告・給与支払報告・住民税・社会保険・給付等を紙を前提とする個別処理から脱却し、デジタルを前提とした一連の社会的システムとして再設計することにある。簡易化された年末調整とリアルタイム化された給与支払報告を組み合わせ、ワンスオンリー化を目指す方針が示された。
個人所得情報基盤の整備を提案し、給与所得や控除情報を本人が確認できる形で蓄積することで、将来的にはワンクリックで確定申告を完了できる可能性を視野に入れている。また、法的根拠と透明性を確保した上で所得に応じた給付や控除への活用も想定されている。
プラットフォーム連携による申告の簡易化も焦点となっており、取引データを発生源に近い段階でデジタル化し、会計・申告ソフトとのAPI連携を進めることで副業・個人事業主の申告負担を軽減する狙いがある。
英国の現地調査報告書では、Real Time Information(RTI)やMaking Tax Digital(MTD)といった取り組みの経験を踏まえ、デジタル化推進には業務プロセスの大幅な変更と追加費用のバランスが重要であることを整理している。今後のデジタルインボイスなど次段階の改革にも言及している。
日本での実現には、給与支払報告のリアルタイム化、個人所得情報基盤、プラットフォーム連携を社会全体の制度設計として位置づける必要があるとの認識が示された。