日本の創薬力低下の背景と、創薬ベンチャーの成長をめざす取り組みを、業界のベテラン記者が整理する。ITIFの指摘や創薬プロセスの変化を踏まえ、今後の注目点を要点だけ示す。
長年、日本は創薬大国としての地位を維持できず、ITIFによると新規化合物の世界シェアは1981–1990年の29%から2011–2020年には7%へ低下した。バイオベンチャーが新規物質の探索段階や初期試験で中心的役割を果たす一方で、米欧中との比較で日本の育成が遅れているとの指摘がある。
創薬プロセスでは①新規物質の探索・基礎研究、②安全性・有効性の非臨床試験、③臨床試験のフェーズ1~3、④承認取得と保険適用・発売という流れがあり、これらの初期段階を担うバイオベンチャーの役割が重要性を増している。米国では臨床初期の段階で大手企業による買収やライセンスアウトが一般的で、出口を意識した創業が多い。
日本ではバイオベンチャーの質・量が欧米・中国と比べて小さく、大学・研究機関と連携した専門家の起業が増える欧米の動きに遅れが見られる。巨大製薬企業は特定領域の創薬技術を持つベンチャーへ初期開発を任せ、優良候補を買収する形が主流になりつつある。