本稿は建設的対話だけでは企業変革が広がらないと指摘し、法治の再興を軸とした改革の道筋を示す。国内外の事例を比較し、動機と力の三つのモデルを整理して具体的な制度設計を提案する。
序盤では、建設的対話は確かに企業価値を高めることがある一方で、現実には大半の企業で改革が進まない現状を指摘する。その原因として、対話の手法自体の限界と、動かす手段を持たない投資家側・動く必然性を欠く経営者側の構造的問題が挙げられている。
次に、変革を駆動させる「個人のリアル」として恐れ・欲・恥・内的動機の四つが重要であるとし、これらが切迫したときに変革が進むと説明する。
続くセクションでは「人治」から「法治」への転換像が強調される。株主が取締役を選び、CEOを解任する統治原理が法治として制度化されて初めて、責任が地位と結びつく構図が成立するとの考えを示す。
四国・欧米の事例を踏まえ、米英欧が法治へ回帰した道のりを整理。恐れ・欲・恥・内的動機という動機と力の組み合わせが、法治の実装を促進するモデルとして機能するとの結論に至る。
日本の現在地は外堀は埋まったが個人のリアルには達していないと評価し、価値創造力の向上と制度の整備を同時に推進するべきだと提言する。最後に、説得・資本・法治の三モデルを組み合わせた三つの推進力を強調し、制度開通の具体策を示している。