2026年、日本のサイバー攻撃公表は過去5年で最多ペースとなり、防御市場は巨大プラットフォームと新興企業が併走して拡大。AIの導入が新たな入口を次々創出している。
本記事は、サイバーセキュリティ市場が単一の市場ではなく、守る対象の広がりと攻撃・防御の経済性の変化によって成長していると整理する。守る対象は社内外の境界、防御の範囲はゼロトラストやクラウド、データ、AIエージェントへと拡大しており、政府のサプライチェーン対策も促進されている。
巨大プラットフォームを生んだ要因として、Palo Alto Networks、CrowdStrike、Cloudflareの3社が入口を押さえた上で周辺領域へ拡張してきた点が挙げられる。各社はファイアウォール、端末、ネットワーク経路といった入口を起点に、プラットフォーム化、モジュール化、ネットワーク上の脅威情報の共有といった手法で成長している。
新興企業の成長機軸としてWiz、Cyeraの事例が取り上げられる。Wizはクラウド全体のリスクを可視化するエージェントレスのアーキテクチャとリスク優先度付けで急成長し、Googleに買収された。Cyeraはデータ自体の保護を中核に据え、AI GuardianやOasis Securityの買収を通じて入口を広げている。技術環境の変化が新しい入口を生み出す構造を強調する。
AIは攻撃と防御の経済性を大きく動かしつつある。攻撃側は自動化と分業でコストを低下させ、防御側はXBOWのような自動化ツールで高頻度・広範囲な検証を可能にする。AI導入によって守る対象が増える一方、実績と導入基盤がMOATとなるという結論に至る。
おわりにとして、攻撃がなくならない市場で次の勝者を決める要素は、データの優位性、導入基盤の強さ、専門特化と統合の両立、AI時代の参入障壁をどう超えるかに集約される。最終的にはAIエージェントがどこへアクセスできるかを管理する領域が次の有力領域となり得る。