1890年創業の稲畑産業が東京日本橋の新本社ビルへ移転を完了させ、仮社屋での3年3カ月のトライアルを経て、社員が使いやすく居心地の良いオフィスを実現した。
旧社屋の耐震性や動線の不便さ、長年の“暗い・狭い・古い”という課題を背景に、建て替えを決断した経緯が描かれる。経営陣は長期的なキャッシュフローの観点から自社ビル保有を選択し、東京駅至近の日本橋立地を活かした。
仮社屋ではペーパーレス化を推進し、固定電話の廃止とフリーアドレス制の導入を試みる。対話を重ねる中で部下の相談を活性化させる組織設計の実験が進み、上長固定席の併用なども検証された。
新社屋は「全社員が使いやすく、挑戦・成長でき、人に誇れるオフィス」を目指し、9階のワールドテラスなど自然光を取り入れる開放空間を設け、会議室の音漏れ対策としてスラブ・トゥ・スラブ工法を採用。
中間階に役員フロアを配置するなど社風を尊重し、創業時のガス灯や稲穂のレリーフを展示して歴史を継承。中間免振構造や上層へ電源を配置した設計、CASBEE認証とZEB Readyを取得する環境配慮も取り入れ、移転後は若手・女性社員を中心に反響があった。