日本のイノベーターが長年培ってきた五つの原則と、ウォークマンやゲームボーイ、リキッド・デス、ポケモンなど世界でヒットを生んだ具体例を交え、革新が社会に与えた影響の要点をまとめた。
1979年のソニーで生まれた革新の背景には、技術の優越より利便性の追求があるとされ、ゲームボーイの展開は画面の古さや処理能力の不足を補い、安価で耐久性の高い設計が大きな人気を呼んだ。横井軍平は「枯れた技術の水平思考」と呼ぶ手法で、消費者は最高機能より日常の使いやすさを求めると示唆している。
原則は次の通りだ。世間は物事に独自の使い方を見つけるという視点、制約を力に変える発想、まだ存在しない市場を創出する力、データが教えない未来を直感で補う姿勢である。ウォークマンの例では、都市部の通勤や運動する若者が新しい音楽体験を求め、絵文字やTikTokの事例は予想外の用途の開拓を示す。さらにカラオケやスラックのように、市場の反発を乗り越える転換点が生まれている。
ドラゴンボールの編集者がデータに反して方向転換を後押しした例や、Slackの創業者が直感を信じて製品化を進めた事例は、データだけに頼らない意思決定の価値を示す。つまり、データは現状を、直感は未来の可能性を示すとされ、両者のバランスが革新を生むとされている。日本企業が長期にわたりこの原則を実践してきた背景には、世界で通用する普遍的な発想があると結論づけられている。