2026年、南鳥島周辺のレアアース開発に政府予算が投入され、信越化学は福井県越前市に新工場を建設すると発表。総投資350億円を政府と信越が折半し、2027年に試掘、2028年に本格生産を目指す。
2026年2月、経産省が南鳥島周辺海域のレアアース泥の商業採掘へ国家予算投入と採掘・製錬事業への補助金交付を公表した。6月には政府と信越化学工業が連携し、越前市に新たなレアアース精製工場を建設すると発表。総投資額は350億円で、政府と信越がそれぞれ175億円を出資する。目的は重希土類の精製能力を高め、中国依存から脱却する産業自立の推進である。
南鳥島周辺海域の研究は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と国立研究機関を中心に進められ、DEE海底採掘技術の確立を目指す。過去には東大・加藤泰浩氏の研究が太平洋全域の深海泥をレアアース資源として示唆し、南鳥島EEZ内で高濃度のレアアース泥が発見された事例がある。最新の報告では海底深部の深海泥に含まれる中重希土類(HREE)の割合が高いことが示された。
信越化学の新工場は重レアアースのジスプロシウム、テルビウム、イットリウムなどを主力とする製品群の生産を想定し、既存の拠点を拡張する形で環境・放射能管理体制を活かす計画。長期的な課題として、原料調達の不足、重レアアース分離の難度、中国による価格競争、環境対策コスト、熟練技術者の確保が挙げられている。