1987年に着手した森永乳業グループの森乳サンワールドは、双子のパンダの母乳不足を補う人工ミルクの開発と、動物園・水族館向けミルクの普及を進めてきた。
森乳サンワールドがパンダ用ミルクの開発を始めたのは1987年のこと。上野動物園の獣医師から相談を受け、双子が生まれた際に母乳を取られず死亡するケースに備える目的で人工ミルクの需要が生まれた。開発には社内の賛否がありつつも、社会貢献の意義が支持を集め、プロジェクトがスタートした。
母乳成分の入手が難しいパンダに対し、類縁種のクマの母乳データや論文情報を活用して初期のパンダミルクが88年に完成。中国の研究機関協力で母乳データとミルク成分を比較し、近似値を確認。後に機能性成分ラクトフェリンを追加し、2010年にパンダミルク-10へと改良された。
森永乳業はパンダ以外にもクマミルク、エレファントミルク、海獣用ミルクを開発・販売。動物園・水族館の要望を受け、国内調達の利便性や輸出制約を考慮して設計を進め、脂質やグルコサミンなどの成分強化を進めている。
動物園・水族館向けの汎用ミルクも活用され、ピューマの赤ちゃんの哺育や在来動物の繁殖支援にも用いられる。企業は現場訪問や成分分析を通じて、母乳成分のデータ化に取り組み、哺育状況の改善に貢献している。森乳サンワールドは55周年を通じたプロジェクトやキャラクター展開など、社会貢献とブランド認知の両立を目指している。