メキシコ北西部の低炭素メタノール製造プロジェクトPacífico Mexinolの説明会が在日メキシコ大使館で行われ、総投資額や生産能力、主要契約の進展が伝えられた。2030年の操業開始を目指し、雇用創出や原料構成の要点も公表された。
米系企業Transition Industriesは10月29日に在日メキシコ大使館で説明会を開催し、メキシコ・シナロア州のホホメ市トポロバンポ周辺で計画される低炭素メタノール製造プロジェクトPacífico Mexinolの概要を公表した。総投資額は50億ドル以上を見込み、2030年の操業開始を目指す。建設時に約6,000人、操業時には直接・間接を合わせ約450人の雇用が見込まれている。
年産能力は約212万トンで、その内訳は天然ガス由来の低炭素メタノールが177万トン、再生可能燃料由来のRFNBOが17.5万トン、リサイクル炭素燃料のRCFが同じく17.5万トンとされる。RFNBOは再生可能エネルギーによる水素と回収CO2を組み合わせて製造する技術を用いる見込みで、CO2排出量の抑制につながると説明された。
事業化に向けた契約として、マイレ傘下ネクストケムが技術ライセンスを提供することが挙げられ、天然ガス由来のメタノールとグリーンメタノールを一体的に製造する体制を取る方針。メタノール設備のEPC契約はサムスンE&AとTechint Engineering and Constructionの連合が担当する。グリーン水素設備はシーメンス・エナジーとTechintが約210MWの水電解設備の契約を結ぶことも明らかにされた。
販売面では三菱ガス化学と年間約100万トンを10年間のテイク・オア・ペイ契約で供給する合意があり、原料調達面ではCFE Energíaと米国産天然ガスを日量約458万立方メートル規模で長期契約を締結した。FIDの時期は未定で、融資や出資の確定が今後の焦点となる。
同プロジェクトは太平洋岸の立地特性を活かし、日本を含むアジア市場への輸送面で優位性が見込まれる。今後は太平洋航路を運航する日本の船会社にとって低炭素燃料の供給拠点となる可能性があり、国際金融公社(IFC)の資金調達関与など、財務面の進展も注目される。