千葉県の地域紙を発行する地域新聞社が、2024年の社長交代と株式上場の危機を乗り越えるため、人的資本経営を軸に組織文化を再構築した。社員一人ひとりがこの会社で働く意味を感じられる仕組みを整え、心理的安全性の定着や評価制度の改革を進めている。
2024年、時価総額の低迷により上場廃止の危機に直面した地域新聞社は、三代目社長・細谷佳津年の就任を機に、危機を社員と共有する道を選んだ。公民館での説明会や公式noteを活用したオープン社内報で、現在の状況と今後の方針を説明し、全社的な一体感の醸成を図った。
以後、人的資本経営を経営の軸として位置づけ、社員一人ひとりが「この会社で働いている自分が好きだ」と感じられる組織づくりを進めた。理念は「人の役に立つ」を根底に置き、採用時にも理念への共感を重視。入社後は相互支援の文化を育み、心理的安全性を前提とする風土を形成した。
評価制度にはコンピテンシー評価を導入。成果は賞与で、成長に関わる行動や力は六つの評価項目で色で表す独自のランク付けを採用。自己評価と上司のフィードバックを通じ、成長を自覚できるようにする取り組みが進むが、定着には時間を要している。
組織の働きやすさを高める仕組みも整備。柔軟な就業時間や時間単位の休暇、育児休業後の復帰支援を充実させ、従業員約270名のうち結婚の例も増加。今後は培ったアセットを活かし、人材紹介事業(特にドライバー紹介)や株式交換による地域企業の事業承継を視野に、地域の活性化へつなげる計画だ。