米国発のPEファンドが日本でも活発化する現状を、著書と事例を通じて検証する。トイザらスやHCRマナーケアなどの買収事例を挙げ、負債依存の手口と社会的影響の実像を描く。
本書は、ブレンダン・バルー著『プライベート・エクイティ 資本主義が世界を食い尽くす』を取り上げ、日本におけるPEファンドの台頭と手法を解説する。米国発のPEファンドが日本市場でも大型化を進める一方で、公共の利益より私益を優先する動きが社会問題化している現状を紹介する。
具体例として、トイザらスは60億ドル超の買収を受けたが、資金の大半が同社の負債で賄われ、買収後は総額約4億6400万ドルを吸い上げ、結果として2017年に破産に至った。
また、カーライルが買収したHCRマナーケアでも、買収総額61億ドルのうち約48億ドルが負債で調達され、手数料として約8800万ドルが取得され、最終的に18年に破産した。
本書では他の小売りチェーンや賃貸住宅、医療系事業などの買収事例を検証し、PEファンドが多くの場合、負債を企業に一手に背負わせるLBO手法で資金を調達する点を指摘する。日本でもLBOは用いられるが借入比率は抑えられていると説明される。
全体として、PEファンドによる買収は多くのケースで企業の財務状態を悪化させ、ファンド側だけが利益を得ているとの結論が示されている。日本への示唆として、警告的な視点と理解の促進を促す内容となっている。