国内最大級の路線バス網を持つ神奈川中央交通が、安定経営を維持しつつ不動産投資を成長の軸に据える方針を示した。第1四半期の好調を受け、2Qの業績を上方修正した。
神奈川中央交通は旅客自動車事業を軸に安定的なキャッシュフローを維持する一方、観光需要への依存を減らし、首都圏を中心とした広域エリアで事業を展開している。自動車事業の規模は国内最大級とされ、エリア人口は約800万人、路線数は1876両、年間走行距離は5349万km、年間輸送人員は約2500万人に達している。
同社は小田急電鉄の持分法適用会社でありながら単独上場を維持しており、筆頭株主は小田急電鉄のままで一定の独立性を確保している。2026年3月期の連結決算は売上高1267億7000万円、営業利益67億7000万円、経常利益66億6000万円で、期初予想比で営業利益の減少を上回る改善が見られた。
投資家向けの説明会では成長性として不動産事業への重点投資が示され、既存施設の資産価値維持・向上を図る大規模修繕や社有地の賃貸転用を通じたストック型収益の拡大を目指す方針が示された。セグメント別では旅客自動車事業が依然として大きな比率を占める一方、不動産事業の営業利益率は高水準だが全体の構成比は低めで、2031年度に向けた利益構成の見直しも掲げられている。
同社は不動産拡大と並行して自動運転バスの実証実験、AIオンデマンドバスの拡大、MaaS連携、路線の決済エリア拡大、自治体との路線再編協議を継続しており、バス営業所の再編と社有地活用を軸に事業ポートフォリオの再構築を進める方針だが、制度・採算性の課題やドライバー不足と需要減少の影響には留意している。