ベトナム南部の物流市場を日本企業の視点で現地視察とVILOG 2026の取材から検証し、勝機があり得る領域とその条件を整理する。3つの仮説と現場の5つの実態を軸に、インフラ・DX・人材の現状と課題を要約する。
国際LOGISTICS TODAYはNexgen JapanとNTT e-MOIと共催で日越サプライチェーン接続調査を実施し、ホーチミン市周辺の7接触先へヒアリングと視察を行った。出発前に掲げた3つの仮説は、日本企業が品質・インフラ・DXを武器に勝てるかどうかを検証することだった。現地の状況は、港湾・倉庫・制度の組み合わせが勝敗を左右するという点で仮説の核と一致していた。
現場で確認された実態は5点に絞られた。まず港は岸壁より内陸接続が競争を決め、カイメップの内陸輸送はバージ85%、トラック15%。倉庫は不足ではなく、どの箱と運用で価値を生むかが鍵。制度は外資の参入形態や通関スキームで差が生まれ、DXは実装優先の運用設計が重要。荷主は統合提供を求めるが、市場には統合型サービスが不足している。これらは全て、ハードの不足より制度と運用設計の不足が課題だという結論に結びつく。
VILOG 2026では日系企業の出展は限定的で、日本通運・コウノイケ・ヴィナトランス・いすゞ・日野など既進出企業が中心だった。中国系の出展は目立ち、現地市場の接点づくりと顧客獲得の動きが活発。現地のコールドチェーン需要は拡大傾向だが、温度管理の法的義務は薄く、運賃透明性の不足も課題として認識された。
総じて、日本企業が対価を得られる領域は残されている。品質管理と教育をセットにした統合的な提供、BCPを含む運用設計、そして人材育成に投資する企業が勝ちやすい。市場設計に加わるには、何を提供するかを明確化し、現地パートナーと協働して実務の標準化を進める必要がある。尚、日本企業の投資意欲は人件費上昇と市場成熟のスピードに影響されるとの指摘もあった。