英米独でガバナンス改革の後に上場企業が4〜5割減少した事例を踏まえ、日本の市場改革とガバナンス改革がどのように上場企業数の減少へとつながるのかを、実務の視点で整理する。
日本経済新聞の報道を受け、東京証券取引所の上場廃止企業が3年連続で過去最多を更新し、年内の廃止が確定した企業は128社に達した。8月末時点の上場企業数は3,705社となり、ピーク時の2023年末から4%減少、7年ぶりの低水準となっている。内訳としては、投資ファンドと組んだ非公開化やMBOが増え、上場維持基準の経過措置が終わり満たせない企業が上場廃止になる流れが進んでいる。
欧米各国の経験を整理すると、ガバナンス改革・市場改革後に上場企業数は大きく減少しており、米国はSOX法と取引所上場規則の強化、英国はコード型ガバナンスの拡大と制度緩和の両面を経験、ドイツは市場再編と上場規制の強化を進めてきた。こうした国々では、規制強化が小規模企業の退出を後押しし、上場数の減少と市場の質の向上が同時に進んだとの分析が示されている。
日本固有の事情として、親子上場の多さと創業家を中心とする支配株主の存在が挙げられる。親子上場は215社へ減少したが依然として200社超、創業家主導のMBOによる非公開化の可能性も高い。上場を続ける企業には今後、株主への説明責任を果たすことが求められ、適切な資本市場の機能を維持するための改革が続く見通しである。
結びとして、上場企業数の減少は改革の副作用ではなく、改革が機能し始めた帰結と捉えられるべきだ。今後も10年単位での減少傾向が続くとみられ、日本市場の適正な上場企業数や上場のあり方が問われる。