山中伸弥教授の書面インタビューで、iPS細胞の次の20年は企業が主役となる見通しが示され、国内開発の推進と適正価格での供給が重視される方針が述べられた。安全性を高める社会基盤整備と国内備蓄の活用も強調された。
山中伸弥・京都大教授は、iPS細胞の次の20年について「主役は企業に移る」と指摘し、競争の中心は米国や中国の研究開発の活発化だと語った。日本の患者に治療用製品をいち早く届けたいとの思いから、企業との協調を重視する立場を示している。
安全性の確保を徹底する取り組みとして、作製細胞の多くのがん関連遺伝子を検査するなどの検証を長年続け、治療用製品としての承認には不可欠な基盤を整えてきたとの認識が示された。
国内開発を優先する戦略として、医療用iPS細胞を事前に備蓄し、研究機関には無償・企業には安価で提供する方針を続けてきたことが整理された。2015年以降の備蓄と特許戦略により海外勢の独占を抑止する取り組みが紹介され、アムシェプリやリハートの条件付き承認もこの成果として挙げられた。
日本は臨床計画の数で米国・中国に遅れを取っており、企業資金と国の支援を組み合わせるオールジャパン体制での研究開発推進が今後の正念場とされた。高額になりがちな細胞治療の普及には、適正価格の確保と企業の利益の両立という課題を官民で協議して解決する必要があるとの見解が述べられた。