日本企業の“当たり前”が海外には伝わりにくい理由を、誠実さのあり方と透明性の実装の違いという観点から解説する連載第一回。世界基準に伝えるには、単なる誠実さの主張を超えた運用の翻訳が必要だと指摘している。
海外生活と日本企業の契約実務の経験を踏まえ、日本の誠実さは相手に伝わる形で翻訳されるべきだと述べられる。翻訳の難点として、協議条項の余白や契約の細部未定を伝える難しさが挙げられる。海外では契約の範囲と責任を事前に明確化することが重視され、日本の実務では状況に応じた誠実な協議を前提とする点が対照的だという。
「誠実さ」だけでは伝わらない現実があるとする指摘では、海外の投資家や評価機関が企業の歴史や現場の努力を知らず、取り組みの継続性と運用実態を重視する点が強調される。担当者が変わっても継続できる仕組みがあるか、問題発生時の改善がどう行われるかが判断材料になる。
透明性の意味は全情報の公開だけでなく、責任の所在と運用プロセス、成果と課題、改善の意思決定の流れが見えることで信頼が生まれると説明される。GRIやIFRS S1といった国際基準の考え方を踏まえ、日常業務としての翻訳が求められると結論づけられる。
日本企業の誠実さは「日常の翻訳」で世界へ伝わるとされ、すでにある資料や記録を整理して一つのストーリーとして伝える手法が有効だと提案される。品質会議やISO記録、教育記録といった内部情報を、外部へ説明可能な形に整えることが、継続的な改善と透明性の確保につながるとしている。